医師不足への対策

慢性的な医師不足はどのようにして起こったのでしょうか。
1970年代、各県に一つの医科大が設置されると共に、多くの国立大学や私立大学で医学部が乱立するようになると、医学部の入学者が急増し、一時は医師過剰な状態の時代もありました。
医師が過剰すると、医療費が膨大に膨らんできたことから、1980年代半ば、医学部の定員を削減、それによって医療費の膨大を防ごうとしたのです。

その結果医療費は削減されましたが2000年代半ばには診療報酬まで引き下げられ、病院経営のために医師の採用を控えるといった状況もでてきています。
さらに2000年代半ばには医師の臨床研修制度が見直され、これまでは医師免許取得後の臨床研修は出身地の大学病院で行われていたものが、自由に研修先を選べるようになり、医師を目指すものは都市部へ集中、その結果、地方の医師は不足してしまいました。

こういった状況に対する対策として、医学部の定員の見直しや、臨床研修では地域医療を視野に入れたプログラムを組むなどの対策を立てています。
また、医師を一人育成するためには膨大な費用がかかります。
数千万円という費用に、医師になりたくてもなれないという実情があります。
こういった状況を防ぐために、各大学では奨学金制度を打ち出して、費用の負担軽減を図っています。
また、小児科や産婦人科では女医が急増しています。
小児科や産婦人科は患者さんも女医であったほうが安心して話しやすいという状況にありますが、女性医師は出産や育児などにかかると、医療の現場になかなか復帰できないといった問題も指摘されています。
こういった状況を改善する対応策として、女医が復帰するときに研修を行う、又女性が子育てしながらでも働きやすい環境作りを行っています。
対策を講じたからといってすぐに結果が出るわけではありませんが、医師不足の解消は大きな節目を迎えています。